トリニティスタディの4%ルールで取り崩す最適解の1つとされている、株式75%債券25%のポートフォリオは、円建ての場合どうなっていたのか?を過去40年分シミュレーションしてみます。
日本でFIRE(Financial Independence, Retire Early)=経済的自由を達成するため、円建てのS&P500と米国債(10年)でも出口戦略としてトリニティスタディが成り立つのか、大切なポイントになると思います。
今回もS&P500のみのポートフォリオ同様、4.5%、5.0%のシミュレーションも実施しています。
今回の結論
・トリニティスタディの4%ルールは円建てのS&P500と米国債(株式75%債券25%)でも概ね通用する
・S&P500のみの場合と比較すると、株式75%債券25%で取り崩しを4.5~5.0%は厳しい結果
※何より、暴落時に資産が減っても冷静でいられる精神力が大切な気がする・・・
1.円建てS&P500と米国債(10年)を4.0%で取り崩したシミュレーション
1982年から毎年1月にFIREしたと仮定した過去のシミュレーションを実施しています。
条件は以下の通りです。
- FIRE時の資産1億円(S&P500:7500万円 米国債(10年):2500万円)
- 毎月333,333円(S&P500:250,000円 米国債(10年):83,333円)を月初に取り崩し(年400万円)
- S&P500の株価、米国債(10年)先物価格、ドル円の為替は月初の終値ベースで算出
- インフレ率は考慮せず
- 配当再投資は米国債のみ考慮(12月に配当再投資)
なお、FIRE成功は、”30年資金が枯渇することなく取り崩せるのか?”という観点となります。
シミュレーション結果
- 2022年8月時点で資産が枯渇したパターンはなし
- 2022年8月時点で資産が元の1億円を下回ったのは1998年、1999年、2000年、2001年、2002年にFIREした5パターン
- 上記5パターン以外は、2022年8月時点で1億円以上の資産になっている
1992年以降は30年経っていないためFIRE成功とは言えませんが、一番資産が減った1999年にFIREした場合でも2022年8月時点で2991万円資産が残っているため、最低7年分と考えるとFIRE成功と考えても良いと思われます。
ただし、S&P500のみのポートフォリオの場合でも、1970年以降の50年間でFIREに失敗(30年資産が持たなかった)したのは、1970年、1971年、1973年の3パターンのみでした。この3年間がどうだったのか?は米国債のデータがないため検証できずです。
1982年以降にFIREした場合は成功率100%なので、円建てでもトリニティスタディの4%ルールはFIRE出口戦略として有効であると考えます。
2.円建てS&P500と米国債(10年)を4.5%で取り崩したシミュレーション
4%ルールではなく、4.5%で取り崩した場合はどうなるか?ということで、
毎月の取り崩しを333,333円(年間400万円)から375,000円(年間450万円)
としたシミュレーションも実施してみました。
シミュレーション結果
- 2022年8月時点で資産が枯渇したのは1999年にFIREした1パターンのみ
- 1999年にFIREした場合、23年2ヶ月で資産が枯渇
- 2022年8月時点で資産が元の1億円を下回ったのは、1998年、1999年、2000年、2001年、2002年、2007年にFIREした6パターン
- 上記6パターン以外は、2022年8月時点で1億円以上の資産になっている
4.5%の取り崩しにした場合、1999年にFIREした場合は明らかな失敗となりますが、2000年、2001年、2002年にFIREした場合についても、2022年8月時点の資産が、
2000年:残り資産1687万円
2001年:残り資産695万円
2002年:残り資産3007万円
となっていますので、厳しく見て、現時点で現金化した場合はFIRE失敗という結果と考えるべきと思います。
4.5%で取り崩してしまうと、40回中4回失敗となり90%の成功率ということになりますので、完全FIREの出口戦略としては厳しいです。
3.円建てS&P500と米国債(10年)を5.0%で取り崩したシミュレーション
次に5%で取り崩した場合はどうなるか?ということで、
毎月の取り崩しを333,333円(年間400万円)から416,666円(年間500万円)
としたシミュレーションも実施しています。
シミュレーション結果
- 2022年8月時点で資産が枯渇したのは1999年、2001年にFIREした2パターン
- 1999年にFIREした場合は18年2ヶ月、2001年にFIREした場合は20年7ヶ月で資産が枯渇
- 2022年8月時点で資産が元の1億円を下回ったのは1985年、1997年、1998年、1999年、2000年、2001年、2002年、2006年、2007年の9パターン
- 上記9パターン以外は、2022年8月時点で1億円以上の資産になっている
5.0%の取り崩しにした場合、1999年、2001年は明らな失敗となりますが、1998年、2000年、2002年、2007年にFIREした場合についても、2022年8月時点の資産が、
1998年:残り資産699万円
2000年:残り資産353万円
2002年:残り資産284万円
2007年:残り資産5837万円
となっていますので、4.5%の時と同様、厳しく見て現時点で現金化した場合はFIRE失敗という結果と考えるべきと思います。
5.0%で取り崩してしまうと、40回中6回失敗となり85%の成功率ということになりますので、完全FIREの出口戦略としてはダメだと思われます。
今回は株式75%債券25%の円建てにおける過去取り崩しシミュレーション結果でしたが、いかがでしょうか?
円建てS&P500のみの時と同様、トリニティスタディの4%ルールが株式75%債券25%の円建てでも、概ね通用すると考えられますので、FIREの出口戦略としては4%ルールで良いと思われます。
ただし、S&P500のみの時よりもシミュレーション期間が10年短いため、あくまで目安ということになります。
円建てS&P500のみの取り崩しシミュレーションはこちらの記事でどうぞ。
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比較の記事はこちらにあります。