FIREに向けて

円建てS&P500をトリニティスタディの4%ルールで取り崩したシミュレーション(1970年から50年分)

2022年9月18日

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日本でFIRE(Financial Independence, Retire Early)を目指す場合、当然ながら日本円で生活することになるため、S&P500を円建てで取り崩すことを考えておかなければいけません。

円建てで取り崩すということは為替の影響を受けることになるため、トリニティスタディで検証されている4%ルールがどうなるのか?というのは、日本でFIREを目指していると気になるところです。

今回は、日本でFIREすることを前提に、円建てのS&P500を4%ルールで取り崩した場合、1970年から50年分を検証してみました。

また、4.5%、5%ではどうなるのか?というのも確認しています。

円建てのS&P500を4%ルールで取り崩す過去シミュレーション

今回の結論

・トリニティスタディの4%ルールは円建てのS&P500にも概ね通用する
・取り崩しを4.5~5.0%でも、割と高い成功率で資産が枯渇しない(暴落を2回まともに受けるとダメ)

※何より、暴落時に資産が減っても冷静でいられる精神力が大切な気がする・・・

1.トリニティスタディの4%ルール

アメリカのトリニティ大学の教授によって1988年に発表された研究結果として、有名な4%ルールがあります。

株式75%債券25%の資産を毎年4%の定額で取り崩した場合、30年間資産が枯渇することなく取り崩すことが可能という内容になります。

具体的には、

<1億円の資産(株式:7500万 債券:2500万)で引退>
●毎年400万円取り崩しても30年間取り崩しても資産が枯渇しない
●資産が枯渇しないどころか、中央値では30年後に資産が8倍に増えている

という研究結果です。

ここで大切なのは、前提として株式はS&P500、債券は高格付け社債であるため、他の投資先では成り立たちません。

なお、トリニティスタディは1988年の研究結果となりますが、2018年に最新のデータが公開されており、概ね4%ルールが今も通用することがわかっています。

FIREの目標資産が年間支出の25倍に設定されるのは、トリニティスタディの4%ルールが理由となっています
ただし、研究結果はもちろんドル建てでの結果であり、日本で生活している場合は為替の影響を考慮する必要があります。

2.円建てS&P500をトリニティスタディの4%ルール取り崩したシミュレーション

1970年から毎年1月にFIREしたと仮定した過去のシミュレーションを実施しています。

条件は以下の通りです。

  • FIRE時の資産1億円(S&P500:100%)
  • 毎月333,333円を月初に取り崩し(年400万円)
  • S&P500の株価とドル円の為替は月初の終値ベースで算出
  • インフレ率、配当再投資は考慮せず

なお、FIRE成功は、”30年資金が枯渇することなく取り崩せるのか?”という観点となります。

<シミュレーション結果>

1970年:25年10ヶ月で資産枯渇
1971年:23年11ヶ月で資産枯渇
1972年:30年11ヶ月で資産枯渇
1973年:25年9ヶ月で資産枯渇
1974年以降:2022年8月まで資金枯渇なし

1972年も30年資産が枯渇していないのでFIRE成功と言えると考えます。

また、1992年以降は30年経過していないため、今後の株価と為替次第ではFIRE成功とはいえません。

ただし、大きく資産が減ったのは、1999年と2001年にFIREした場合で、それぞれ2022年8月の資産は、

●1999年:残り資産3,988万円
●2001年:残り資産4,479万円

となっています。現時点で現金化すれば10年程度の資産と考えると、

4%ルールで円建てS&P500を取り崩した場合、約50年の過去検証で30年資産が持たないのは3回

となり、成功率は約94%となります。

なお、1998年~2002年の4年を以外は、2022年8月時点で元の資産である1億円を上回っている結果となっています。

3.円建てS&P500を4.5%取り崩したシミュレーション

4%ルールではなく、4.5%で取り崩した場合はどうなるか?ということで、

毎月の取り崩しを333,333円(年間400万円)から375,000円(年間450万円)

としたシミュレーションも実施してみました。

<シミュレーション結果>

1970年:21年6ヶ月で資産枯渇
1971年:19年10ヶ月で資産枯渇
1972年:22年7ヶ月で資産枯渇
1973年:20年6ヶ月で資産枯渇
1974年:36年4ヶ月で資産枯渇
1976年:39年0ヶ月で資産枯渇

1999年:23年2か月で資産枯渇
上記以外は2022年8月まで資金枯渇なし

4%ではFIREが成功していた1972年や1999年が失敗となってしまっています。また、2000年と2001年にFIREした場合の2022年8月の資産は、

●2000年:残り資産1,294万円
●2001年:残り資産654万円

となっていますので、この2年もFIRE失敗と考えると、

4.5%ルールで円建てS&P500を取り崩した場合、約50年の過去検証で30年資産が持たないのは7回

となり、成功率は86%です。

4.円建てS&P500を5.0%取り崩したシミュレーション

最後に5%で取り崩した場合はどうなるか?ということで、

毎月の取り崩しを333,333円(年間400万円)から416,666円(年間500万円)

としたシミュレーションも実施しています。

<シミュレーション結果>

1970年:18年5ヶ月で資産枯渇
1971年:17年2ヶ月で資産枯渇
1972年:19年1ヶ月で資産枯渇
1973年:17年3ヶ月で資産枯渇
1974年:26年9ヶ月で資産枯渇
1976年:29年11ヶ月で資産枯渇
1977年:35年9ヶ月で資産枯渇
1999年:18年2ヶ月で資産枯渇
2000年:18年11ヶ月で資産枯渇
2001年:17年5ヶ月で資産枯渇
上記以外は2022年8月まで資金枯渇なし

30年資産が持たないことが非常に多くなりました。これにくわえ、2001年にFIREした場合の2022年8月の資産は379万円となっていますので、FIRE失敗と考えることができます。

5%ルールで円建てS&P500を取り崩した場合、約50年の過去検証で30年資産が持たないのは10回

となり、成功率は約80%です。


過去の実際の値でシミュレーションした結果はいかがでしょうか?

為替の影響があるとはいえ、トリニティスタディの4%ルールは円建てのS&P500にも概ね通用すると考えて問題はないと私は考えます。

また、大きな暴落を2度まともに受けてしまうと4%での取り崩しでないと厳しいですが、1度の暴落であれば、4.5%~5.0%の取り崩しでも資産は30年もちそうです。

10年に1回ぐらいは暴落していることを考えると、資産取り崩しだけでFIRE後の生活費を考えるのであれば、4%ルールが安全です。

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