新NISAの投資先として、銘柄選定の際に必ず検討にあがるであろう、S&P500と全世界株式(通称:オルカン)。
どちらも優秀なインデックスであり、過去の実績からも、新NISAで長期積立投資を実施するなら最適解であると考えられる指数です。
どっちかに決めきれず、「両方持つのはありなのか?」と迷っている方へ、1988年~2023年の35年分のシミュレーション結果を見て決めてみませんか?
1.S&P500とオルカンの違い
S&P500とオルカン、どっちか一方に投資するか、両方に投資するか、その割合はどうするかなど、目標資産額や戦略によりますが、どちらも長期的な資産形成を目的とした場合、非常に優秀な投資先です。
そんなS&P500とオルカンの違いは、主に以下の点です。
- S&P500は米国市場に焦点を当てているため、米国の経済が好調な場合に大きなリターンになる可能性があるインデックス
- オルカンは米国外の市場やセクターへ投資が多角的に分散しているため、よりリスクが分散されているインデックス
S&P500の特徴
S&P500はアメリカの大手企業500社の株式パフォーマンスを示す指数です。
企業の時価総額に基づいて加重平均されており、米国経済の動向を把握する上で重要な指標となっています。
構成銘柄は、主に情報技術、金融、ヘルスケアなどのセクターが含まれており、アップルやマイクロソフト、ジョンソン・エンド・ジョンソン、JPモルガン・チェースなど、様々な業種のリーディングカンパニーが採用されています。
S&P500は米国株式市場の時価総額の約80%をカバーしてます!
オルカンの特徴
一方で、オルカンは全世界の主要な株式市場を包括する指数です。
米国だけでなく、欧州、アジア、新興国まで60以上の国々が対象となっており、異なる国々やセクターへ分散されているため、グローバルな市場の経済を反映しています。
オルカンはMSCIが提供しており、単一国や地域に依存せずにグローバルな投資の指針として注目を集めています。
オルカンは全世界への分散投資ですが、約60%は米国株で構成されています!
チャートから見るS&P500とオルカン
オルカンの約60%が米国株で構成されており、組み入れ銘柄Top10も同じ企業の名前があるため、同じような動きになることは容易に想像できますが、実際のチャートで確認するとよりわかりやすいです。
チャートをパッと見るとS&P500が圧倒的なパフォーマンスに見えますが、切り取る期間に依存しますので、ご注意ください。
特に、2000年代はドットコムバブル崩壊でオルカンよりもS&P500が大幅下落し、その後のパフォーマンスもオルカンが有利でした。
リーマンショックの底を打った後は、チャート通りですがS&P500の圧勝です。
2.S&P500とオルカンの”両方”or”どっちか”を積立投資するシミュレーション条件
それでは新NISAを想定した上限1800万円までの投資を、S&P500とオルカン、両方を持つパターンとどっちかを持つパターンとして、以下のような条件を設定してシミュレーションします。
新NISAを想定したシミュレーション条件
- シミュレーションは以下3パターンで上限1800万円まで投資(合計15年間)
パターン1:10万円/月×15年積み立て
パターン2:20万円×7.5年積み立て+7.5年運用
パターン3:30万円×5年積み立て+10年運用 - 投資先は、S&P500に100%、S&P500とオルカンに50%ずつ、オルカン100%の3パターン
- ドルベースではなく、円ベースでの算出
- データ期間1998年~2023年(合計22回分)
- オルカン:低コスト投資信託想定の経費率0.1%、配当再投資(配当は直近のオルカン平均配当率1.75%で一律計算)
- S&P500:低コスト投資信託想定の経費率0.1%、配当再投資(配当は直近のS&P500平均配当率1.10%で一律計算)
3.S&P500とオルカンの”両方”or”どっちか”を積立投資したシミュレーション比較
新NISAの投資枠へ月10万、20万、30万の3パターンで、S&P500、オルカンへどっちかに投資、両方に投資した過去シミュレーション結果を比較してみます。
結果はすべて15年後の資産評価額となてっており、表の資産単位は”万円”で端数を切り上げています。
なお、緑が濃くなるほど資産額が増えており、オレンジ~赤は元本割れしていることを表しています。
月10万円の積立投資シミュレーション比較
月20万円の積立投資シミュレーション比較
月30万円の積立投資シミュレーション比較
S&P500とオルカンの両方を持つと、当然ではありますが、資産額はS&P500とオルカンのちょうど中間の結果になります。
オルカンの約60%が米国株であるため、相関性が非常に高く、1994年~1998年の積み立て開始はS&P500もオルカンもあまり資産が増えておらず、1997年開始に至ってはすべてのパターンで元本割れするという結果です。
逆に、2000年以降の積み立て開始はオルカンでもS&P500でも資産が大きく増えており、両方を持つのはあまり意味がないように感じられます。
ただし、S&P500の結果が厳しかった1997年前後の積み立て開始パターンでは、オルカンを持つことで多少資産が増えています!
4.S&P500とオルカンの資産推移チャート ~”両方”or”どっちか”へ投資~
S&P500とオルカンを両方持つか、どっちかに投資するか、シミュレーション結果を見る限り、「リターンが減る可能性は高いが、少しでも良いから損失をカバーしたい」ということであれば、検討の余地アリというレベルになります。
ただし、株式投資は投資している期間にどれだけ資産が動くのか?も非常に重要であり、リスク許容度を超えてしまうことが一番危険です。
リスク許容度を超えていると、暴落したタイミングで投資をやめてしまったり、狼狽売りしてしまったりと、資産を増やすどころか、自ら資産を減らす行動をしてしまうため、資産推移チャートを見て、自分なら耐えられそうか?を考えておくべきかと思います。
S&P500とオルカンの差が一番大きかった、1996年or1999年積み立て開始(オルカン有利)、2009年積み立て開始(S&P500有利)の2パターン、月10・20・30万円つみたての6パターンのチャートを見てみましょう!
オルカンが有利だった資産推移チャート ~1996or1999年開始~
月10万円×15年 シミュレーションのチャート(1996年積立開始)
月20万円×7.5年 シミュレーションのチャート(1996年積立開始)
月30万円×5年 シミュレーションのチャート(1999年積立開始)
S&P500が有利だった資産推移チャート ~2009年開始~
月10万円×15年 シミュレーションのチャート(2009年積立開始)
月20万円×7.5年 シミュレーションのチャート(2009年積立開始)
月30万円×5年 シミュレーションのチャート(2009年積立開始)
S&P500とオルカンの差が一番出たパターンの資産推移シミュレーションの比較チャートになりますので、少々極端なパターンであることはご理解ください。
過去このようになっているのは事実であり、自分の資産が同じ動きをすることがあり得ます。
であれば、特に大きく上下したタイミングを想定し、
ココがポイント
S&P500とオルカンを両方持つ、黄色の動きなら耐えられる!
と思えるかどうか?が重要なポイントになると思います。
ただし、ドットコムバブル崩壊やリーマンショック級の暴落時は、ほぼラインが重なっておりますので、ご注意ください・・・
みなさんは、S&P500にされますか?オルカンにされますか?両方もちますか?管理人「なおた」は米国を信じてS&P500の予定です!
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