※2024/03/03 Update※
全世界株式、通称オルカンに投資されている方は、シミュレーションサイトにて利回り5%あたりで設定し、右肩上がりの資産推移チャートを見ていらっしゃるのではないでしょうか?
実際の株価は大きく上下し、さらに為替にも影響されるため、きれいな右肩あがりのチャートになることはほぼありません。
過去の暴落時や上昇局面でどうなったのか?を35年分の過去データからシミュレーションし、リアルな資産推移を見ておくことで、今後の下落局面や上昇局面でも、淡々と積み立てていくことができるようになるはずです。
・ドル建てではなく、円建てでの利回りやリターンはどうだったのか?
・リーマンショックやドットコムバブルでどうなったのか?
・パフォーマンスが良かった年、悪かった年でどの程度差がでるのか?
これらをオルカンの過去データでシミュレーションし、具体的な数字とチャートで解説します。
この記事でわかること
- オールカントリー(通称:オルカン)に5年、10年、15年、20年、25年、30年積み立てた場合の平均リターンと平均利回り
- オルカンへ積み立て開始した年ごとのリターンと利回り
- オルカンの最大・最小リターンのリアルな資産推移
1.全世界株式:オールカントリー(通称:オルカン)の特徴とチャート
まずは、オルカンをおさらいしておきましょう。
自分が投資する先ですから、最低でも以下ぐらいは把握しておきましょう!
- どの国にどの程度資金が配分されているのか?
- どんな企業にどの程度資金が配分されているのか?
- 過去の株価推移はどうか?
オルカンの特徴
全世界株式(通称:オルカン)はその名の通り、全世界の主要な株式市場を包括する指数です。
米国だけでなく、欧州、アジア、新興国まで60以上の国々が対象となっており、異なる国々やセクターへ分散されているため、グローバルな市場の経済を反映しています。
オルカンはMSCIが提供しており、単一国や地域に依存せずにグローバルな投資の指針として注目を集めています。
ココがポイント
オルカンは全世界の株式へ分散投資ですが、約60%は米国株で構成されています。
オルカンの過去チャート
オルカンの指数が設定された1988年1月の価格を1としたドルベースと円ベースの2023年末までのチャートです。ほとんど同じような動きになっていますが、直近では円安の影響をうけて大きめに乖離しています。
年利6%のラインも参考で入れておきましたが、これを見ただけでも右肩上がりにならないことが想像できます。
2.オルカンのシミュレーション条件
1988年から35年分のオールカントリーのデータを利用した、今回のシミュレーション条件は以下の通りです。
オルカンのシミュレーション条件
- シミュレーションは以下6パターン
パターン1:10万円/月×5年積み立て(投資総額:600万円)
パターン2:10万円/月×10年積み立て(投資総額:1200万円)
パターン3:10万円/月×15年積み立て(投資総額:1800万円)
パターン4:10万円/月×20年積み立て(投資総額:2400万円)
パターン5:10万円/月×25年積み立て(投資総額:3000万円)
パターン6:10万円/月×30年積み立て(投資総額:3600万円) - 投資先は全世界株式(通称:オルカン)連動の投資信託を想定
- 投資信託の経費率は0.1%とし、配当はすべて再投資(配当は直近のオルカン平均配当率1.75%で一律計算)
- ドルベースではなく、円ベースでの算出
- 結果は12月末の資産評価額(端数は万単位で切り上げ)
3.オルカンのシミュレーション結果
オールカントリーのデータが取得できた1988年から2023年末まで、35年分のデータから毎年5年、10年、15年、20年、25年、30年積み立てた場合のシミュレーションを実施しています。
オレンジ~赤の部分は投資元本を下回ったパターンとなり、緑色になるほど資産額が大きくなっていきます。
5年積立投資した利回りとリターン
5年積立の平均(投資総額600万円)
- 平均トータルリターン:144万円
- 年平均利回り:8.2%
オールカントリーへ5年間積立投資(1988年から2023年まで過去32回分)をしたシミュレーション結果は以下の通りです。
過去32回のうちマイナスリターンは9回(約28%)あります。利回りは最低-17.7%~最大19.8%とブレ幅が非常に大きく、積立投資としては5年では期間が短いことがよくわかります。
10年積立投資した利回りとリターン
10年積立の平均(投資総額1200万円)
- 平均トータルリターン:616万円
- 年平均利回り:7.7%
オールカントリーへ10年間積立投資(1988年から2023年まで過去27回分)をしたシミュレーション結果は以下の通りです。
過去27回のうちマイナスリターンは3回(約11%)まで減少しています。利回りは最低-6.2%~最大12.7%とまだブレ幅は大きいものの、積立投資の最低期間としては10年が1つの目安になるのではないかと思います。
15年積立投資した利回りとリターン
15年積立の平均(投資総額1800万円)
- 平均トータルリターン:1299万円
- 年平均利回り:6.7%
オールカントリーへ15年間積立投資(1988年から2023年まで過去22回分)をしたシミュレーション結果は以下の通りです。
過去22回のうちマイナスリターンは2回(9%)あります。利回りは最低-1.8%~最大12.2%とマイナスリターンのブレ幅が大幅に改善しています。
20年積立投資した利回りとリターン
20年積立の平均(投資総額2400万円)
- 平均トータルリターン:2339万円
- 年平均利回り:6.2%
オールカントリーへ20年間積立投資(1988年から2023年まで過去17回分)をしたシミュレーション結果は以下の通りです。
過去17回のうちマイナスリターンはありませんでした!利回りは最低1.1%~最大9.8%となり、すべてプラスリターンです。積立投資の目標期間として、20年は2つ目の目安になりそうです。
25年積立投資した利回りとリターン
25年積立の平均(投資総額3000万円)
- 平均トータルリターン:4594万円
- 年平均利回り:6.6%
オールカントリーへ25年間積立投資(1988年から2023年まで過去12回分)をしたシミュレーション結果は以下の通りです。
過去12回のうちマイナスリターンはありません。また、利回りは最低3.2%~最大8.6%となり、プラスリターンはもちろん、ブレ幅が大きく改善しています。ただ、試行回数が12回と少ないことは認識しておきましょう!
30年積立投資した利回りとリターン
20年積立の平均(投資総額2400万円)
- 平均トータルリターン:8636万円
- 年平均利回り:7.0%
オールカントリーへ30年間積立投資(1988年から2023年まで過去7回分)をしたシミュレーション結果は以下の通りです。
マイナスリターンはもちろんなく、利回りも最低5.7%~最大8.1%とブレ幅が小さく、最低だったパターンでも大きく資産を増やすことが出来ています。25年積み立て同様、試行回数が7回と非常に少ないのは気になるところです。
4.オルカンの最大、最小パフォーマンスのチャート
積み立て開始の年によって結果が大きく変わることがわかりましたが、実際の資産推移がどうなるのか?をチャートで見ておきましょう。
オルカンへ5年、10年、15年、20年、25年、30年と積立投資した、一番良かったパターンと悪かったパターンをチャートで比較することで、シミュレーションサイトとの違いがよくわかります。
5年積立投資したチャート
10年積立投資したチャート
15年積立投資したチャート
20年積立投資したチャート
25年積立投資したチャート
30年積立投資したチャート
「インデックスへの積立投資は長期で淡々と積み立てる」重要性がよくわかるチャートではないでしょうか?管理者は暴落を経験したことがないので、実際に暴落した時にそう思えるのか?はわかりませんが・・・。
5.全世界株式:オールカントリー(通称:オルカン)の平均利回りとリターン
最後に全世界株式:オールカントリー(通称:オルカン)の各積み立て期間における平均をまとめると以下のようになります。
あくまで過去データからのシミュレーションであり、未来も同じ結果になることはありませんが、参考データとしては重要なものだと考えています。また、上記は平均であり、積立期間が短いと大きくリターンがぶれる(マイナスにも)ため、注意が必要となります。
積立額にもよりますが、30年積立投資をしていれば、老後資金はさすがに大丈夫なのでは?と思えますね!
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